塗装コラム

2024.07.26

No9. 塗料についてさらに詳しく

前回コラムで良い塗料(内容物)は3つの必須条件を備え、用途に適した塗装系と説明しました。
この表現だけではいささか大雑把すぎるかも・・・
もう少し塗料について掘り下げてみましょう。

塗料や塗装を複雑にしている一つの要因は、さまざまな下地素材に対応した下塗り塗料が多数あり、耐候性や意匠性を良くした中塗り、上塗り そして塗装系も多岐にわたっていることが言えます。

別の要因では、塗料自体が水系と溶剤系に大別されること、物理的に乾燥・硬化の過程が違うことも解かりにくさと言えます。
乾燥・硬化の過程においては大気中に揮発する成分と塗膜となる成分とに別れ、揮発する成分が有機溶剤が大半、もしくは全て、であれば溶剤系塗料、水が大半、もしくは全て、であれば水系塗料とに区分されます。
かつては速乾性でTX(トルエン、キシレン)リッチな強溶剤塗料もありましたが、昨今の環境問題への対応で弱溶剤化、水系化にシフトしています。

塗膜になる過程も様々です。
塩化ビニル樹脂のようにシンナーである溶剤成分が揮発することで塗膜になり、その塗膜をシンナーで溶かすと塗膜が溶け出し元に戻る(可塑性)物や、2液混合タイプのエポキシ樹脂やウレタン樹脂のような主剤と硬化剤を混合し、化学反応で塗膜硬化するもの(硬化性)や、水系塗料のような、水が蒸発しエマルジョン粒子が濃縮圧着(融合)して膜を形成するものなど様々あります。

塗料、塗装工事を複雑にしているのは上記と重複しますが、あらためて塗料の種類が多いことです。
塗膜となる主成分の油脂や合成樹脂の種類が多く、それに加え分類も多岐にわたります。
弊社が取り扱う戸建て住宅塗装工事においてだけでも下記のような分類になります。

被塗物

セメント用、金属用、プラスチック用

塗料分類

アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ塗料、ウレタン塗料、フッ素樹脂、強溶剤系、弱溶剤系、水系

塗料状態

1液タイプ、2液混合タイプ、水希釈あり、既調合塗料、シンナー、エマルジョン、調合ペイント

性能

錆止め塗料、防藻・防カビ塗料、抗菌塗料、防汚塗料、耐火塗料、等

塗膜外観

艶有、艶消、透明、不透明、エナメル、多彩

用途

下塗用、中塗用、上塗用、内装用、外装用

塗装方法

ローラー、刷毛、吹付、


塗料分類を深掘りするとキリがありませんのでこのへんで。
塗料の選定は各塗料メーカーが推奨する塗装仕様が望ましいのはもちろんですが、なんといっても現場での施工実績が一番の判断材料と言えるのではないでしょうか。
塗料(内容物)自体は半製品ですので塗膜になってからが勝負です。
良い塗料と良い塗装で十分な施工実績があるものを選ぶことが重要と思います。