前回コラムで塗料自体(内容物)と塗装条件(環境や条件)、そして塗装されるもの(被塗装物)が良い条件でそろってこそ、塗料の価値が発揮されるとお伝えしました。
それではまず塗料自体(内容物)の良い条件とは何でしょう。
明治期までは漆や柿渋やペンキ(ボイル油)などの自然由来の塗料が主流でした。
1950年代になって合成樹脂塗料の台頭で塗料メーカーが増えて、塗料の種類も飛躍的に増加してきました。
各塗料メーカーから様々な塗料が商品化されて、汎用品から高級品まで様々な塗料が流通しています。
どんな高価な塗料であっても塗料としての条件を満たしていることが大事になります。
塗料としての条件とはいったい何でしょう。塗料といえるためには 最低限3つの条件が挙げられます。
➀ちゃんと塗ることができること(均一な粘調な液体状態である)
②ちゃんと密着すること(被塗装面にくっつく)
③ちゃんと塗膜に変化すること(液体から塗膜に変化)
しごく当然のことですが塗料の必須の3つの条件と言えます。
「塗料が容器内で固まっている」、「密着しない」、「塗膜にならない」
というのは塗料の価値を発揮しないばかりかトラブルの原因になります。
上記の条件を満たすことは塗料としての必須条件です。
必須条件を満たした上で良い塗料として重要なことがあります。
それは、用途に適した塗装系です。塗装系とは下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料といった組み合わせ塗装仕様のこと。
塗装系は各層の役割分担で被塗装物を被覆して塗膜効果を発揮します。
例えば、下塗り用塗料を上塗り塗料として使用したら塗膜効果が得られないばかりか剥がれ・膨れ・変色などのクレームにつながる恐れがあります。
従って、良い塗料(内容物)とは上記の3つの必須条件を保ち、用途に適した塗装系の塗料であることと言えます。