塗装コラム

2024.12.03

No.12 建築部材の素地調整の種類(目的)はなに?

前回コラムで下地処理は塗装のかなめとお伝えしました。
一般的に、建築塗装の下地面は、建物の躯体素地に直接塗装する場合(初回塗装)と以前に塗装された旧塗膜が残った面に塗装する場合(塗り替え塗装)のふたつがあります。

まずは、躯体素地に直接塗装する場合(初回塗装)について考えてみましょう。建物の躯体素地の種類は多岐にわたります。一般的に塗装しないプラスチック素材を除外すると、大きく3つの素地(金属系、無機質系、木質系)に分類されます。

●金属系     :普通鋼板・亜鉛メッキ鋼板・しんちゅう・アルミニウム・ステンレス 等
●無機質系【現場施工】コンクリート・モルタル・石こう板 等
【工場加工(窯業系)】ALC・PC板・フレキスブル板・コンクリートブロック・プラスターボード等
●木質系   :木材・合板・フローリング・繊維板・パーティクルボード 等

上記の通り、建物の躯体素地の種類は多岐にわたりますが、すべての躯体素地で塗装が必要となるわけではありません。躯体素地そのままで美粧性や耐久性を持ったものもあります。塗装するケースが多い部材と塗装しなくても良い部材とに分かれます。

塗装に求められる性能は素地ごとに分かれます。金属系の場合は第一に防食性でしょう。無機質系の場合はセメント主原料が多いため、美装性にくわえ中性化防止や多孔質素材のため防水性が求められるのではと考えます。木質系の場合は防水性、防腐性、ヤケ防止に加え、木目を活かした美装性、防虫性などが求められます。

また、素地の部位によっても内装・外装、降雨、日向・日陰、高温・低温、乾燥・多湿など環境影響により要求も変わってきます。これらの要求に対応する塗料設計が求められることになります。